リモートワークやハイブリッドワークが普及し、働き方が多様化する現代において、従業員同士のコミュニケーション不足や関係性の希薄化は、多くの組織が抱える課題となっています。
このような状況を打開し、強い組織を作るための戦略的な手法として、今あらためて「チームビルディングゲーム」が注目されています。
本記事では、室内で手軽に実施でき、チームの課題解決に役立つゲームをご紹介します。
チームビルディングのゲームが重要な理由は?
チームビルディングは、親睦を深めるためのレクリエーションという側面が強いものでしたが、現代のチームビルディングゲームは、単なる「楽しさ」だけでなく、組織課題を解決するための「機能」が重視されています。
例えば、チームメンバーが安心して意見を言える「心理的安全性」の高い環境を作ったり、協力して課題を解決するプロセスを体験したりといった形となっています。
ゲームという体験学習を通じて、以下のようなスキルを実践的に学ぶことができます。
- コミュニケーションの活性化
- 協力体制の構築
- 問題解決能力の向上など
【目的別】室内でできるチームビルディングゲーム
ここからは、室内で実施可能なおすすめのチームビルディングゲームを、目的別に分けて具体的に紹介します。
合意形成・戦略的思考を強化するゲーム
多様な意見をまとめ、チームとして最適な結論を導き出す「合意形成」のプロセスを学ぶゲームです。多数決に頼らず、論理的な議論を通じて全員の納得を目指すことで、交渉力や戦略的な思考力を鍛えます。
NASAゲーム
「月面で不時着した」という設定の中、手元に残された15個のアイテムに優先順位をつける、合意形成ゲームです。
個人で考えた後、チームで議論し、最終的な結論を導き出します。このゲームの真の目的は、多数決や声の大きい人の意見に流されるのではなく、全員が持つ情報を論理的に組み合わせ、個人の判断を超える質の高い結論を生み出すプロセスを体験することにあります。
項目 | 詳細 |
推奨人数 | 1チーム4〜6名 |
所要時間 | 60〜90分 |
準備物 | ワークシート、筆記用具 |
難易度 | 中級 |
オンライン対応 | 可能 |
- 参加者は個人で15個のアイテムに優先順位をつけます。
- チームで各自の意見を共有し、議論を通じてチームとしての最終順位を決定します。この際、多数決は禁止です。
- NASAの模範解答と見比べ、答えとの差が最も少なかったチームの勝利です。
- なぜチームの結論が個人の結論より優れていたか(劣っていたか)を振り返ります。
協力体制・問題解決能力を形成するゲーム
チームで協力して明確なゴールを目指すことで、一体感や達成感を共有するゲームです。課題に取り組む中で、効果的な役割分担や情報共有といった、チームでの問題解決に必要なスキルを実践的に学ぶことができます。
マシュマロ・チャレンジ
パスタ、テープ、ひも、マシュマロを使って、18分以内に最も高い自立式のタワーを建てる、シンプルながら奥深いゲームです。
多くのチームが計画に時間をかけすぎるあまり失敗しますが、子供たちのチームのように、まず作ってみる(試作)ことを繰り返すチームが良い結果を出す傾向にあります。
このことから、完璧な計画よりも、まず行動し、失敗から学び、素早く改善していく「PDCAサイクル」や「アジャイル開発」の重要性を体感的に学ぶことができます。
項目 | 詳細 |
推奨人数 | 1チーム4名 |
所要時間 | 30〜60分 |
準備物 | (1チームあたり) ・乾燥パスタ20本 ・マスキングテープ90cm ・ひも90cm ・マシュマロ1個 ・ハサミ ・メジャー |
難易度 | 初級 |
オンライン対応 | 不可 |
- 制限時間18分以内に、与えられた材料のみで自立するタワーを建てます。
- タワーの頂上に必ずマシュマロを置かなければなりません。
- 制限時間終了後、最も高いタワーを建てたチームが優勝です。
- なぜうまくいったか、どうすればもっと高くできたかをチームで振り返ります。
謎解き脱出ゲーム
チームで協力して部屋に隠された謎や暗号を解き明かし、制限時間内での「脱出」を目指す体験型ゲームです。
このゲームの謎は、ひらめきが必要なもの、論理的な思考が求められるものなど様々です。そのため、一人の天才が全てを解決することはできず、観察力、発想力、計算力といったメンバーそれぞれの強みを活かした役割分担が成功の鍵となります。
この経験は、多様なメンバーの才能を結集させて相乗効果を生み出すことの重要性を、体験的に学ぶことに繋がります。
項目 | 詳細 |
推奨人数 | 1チーム4〜6名 |
所要時間 | 60〜120分 |
準備物 | 専用の謎解きキット (専門会社への依頼が一般的) |
難易度 | 初級〜上級(プランによる) |
オンライン対応 | 可能 |
- 参加者は物語の背景やミッションの説明を受けます。
- チームで協力し、部屋に隠された謎やヒントを探し出し、解き明かしていきます。
- 全ての謎を解いて最終ミッションをクリアし、制限時間内の「脱出」を目指します。
- ゲーム終了後、なぜ脱出できたか(できなかったか)、どのように協力したかをチームで振り返ります。
相互理解・コミュニケーションを活性化するゲーム
チームワークの基礎となる、メンバー間の円滑なコミュニケーションの土台を築くゲームです。互いの人となりを知り、心理的な壁を取り払うことで、安心して発言できる関係性を育みます。
2つの真実、1つのうそ
自分に関する3つのエピソード(真実2つ、うそ1つ)を発表し、他のメンバーがどれがうそかを当てる、自己紹介を兼ねたシンプルなゲームです。
聞き手は、発表者の見た目や普段の印象から無意識にうそを推測しますが、その予想が外れた時に「人は見かけによらない」という事実に気づかされます。
このゲームでは、相手への固定観念を取り払い、より深い相互理解へと繋がるきっかけとなります。
項目 | 詳細 |
推奨人数 | 3名以上(1グループ5〜8名が最適) |
所要時間 | 1人あたり3〜5分(人数による) |
準備物 | ホワイトボードや付箋があると便利 |
難易度 | 初級 |
オンライン対応 | 可能 |
- 各自、自分に関するエピソードを3つ(真実2つ、うそ1つ)考えます。
- 順番にエピソードを発表し、他のメンバーはうそを見破るために質問をします。
- 質疑応答の後、聞き手は一斉にどれがうそだと思うかを当てます。
- 発表者が正解を発表し、全員が終わるまで繰り返します。
まとめ
本記事では、室内でできるチームビルディングゲームを、その目的や効果、成功のポイントと合わせてご紹介しました。現代のチームビルディングゲームは、単なるレクリエーションではなく、組織が抱える課題を解決するための戦略的なツールです。
ここで紹介したゲームを参考に、ぜひあ「遊び」を「学び」に変えてより良いチーム作りを目指してみてくださいね!